休日の種類を正しく理解しよう!法定休日・所定休日・代休・振替休日の違いをやさしく解説!(2025/6/3)
こんにちは、
新入社員の方や、人事・労務のご担当者からよくいただくご質問のひとつに、
「法定休日と所定休日の違いって何ですか?」
「代休と振替休日ってどう違うんでしょうか?」
というものがあります。
言葉は似ていますが、それぞれ法律上の意味や給与の取り扱いが異なるため、正確に理解しておくことがとても大切です。今回は、これら4つの用語を具体例を交えてわかりやすく解説していきます。
■法定休日とは?
法定休日とは、労働基準法で「週に1回」以上、必ず与えなければならない休日のことです。
これに違反すると法的な問題が発生するため、全ての企業にとって共通する最低ラインの休日です。そして、この法定休日に出勤した場合には、休日労働となり、割増賃金(通常の1.35倍以上)の支払いが必要になります。
たとえば:ある会社が「毎週日曜日を法定休日」としている場合、この日曜日が法定休日にあたります。
この社員が日曜日に出勤した場合は、1.35倍の割増賃金が必ず必要になります。
さらに、その日の労働時間が8時間を超えると、時間外割増(1.25倍)も追加されます。
所定休日は、会社が就業規則や雇用契約で独自に定めている休日のことです。法律上の義務ではなく、企業ごとに自由に設定できます。
会社によっては、週休2日制をとっており、法定休日の他にもう1日を「所定休日」として設定していることが多くあります。
たとえば:ある会社で「日曜日を法定休日、土曜日を所定休日」と定めていた場合、土曜日に出勤したとしても、それは「休日労働」とは限りません。
この場合、その週の労働時間や土曜日の出勤に割増賃金が必要かどうかは、就業規則など社内ルールに従って決まるのです。
■振替休日とは?
振替休日とは、あらかじめ(=事前に)「この日を休みにする代わりに、この日に出勤する」と決めておくことです。つまり、元の休日を他の日にずらす形です。
この場合、振替後の休日は正式な休日となり、出勤した日は通常の勤務日とみなされるため、割増賃金は不要です。
たとえば:日曜日が法定休日の会社で、「今週はイベント対応のため日曜日に出勤してもらい、その代わり火曜日を休みにする」と、事前に労使で合意していた場合。このとき、日曜日の出勤は振替出勤とされ、休日労働にはならず、割増賃金の支払いも不要になります。
重要なのは、必ず事前に取り決めることです。後から「代わりに休んでね」と言っても、それは「代休」扱いになります。
■代休とは?
代休は、休日に出勤した後で、別の日に休みを与えることをいいます。
「振替休日」と異なり、休日出勤がすでに発生しているため、その労働には割増賃金の支払いが必要です。
たとえば:法定休日である日曜日に急な対応で出勤してもらい、その代わり火曜日に休みを取ってもらった場合。
これは「代休」であり、日曜日の勤務はすでに「休日労働」となっているため、必ず1.35倍の割増賃金を支払わなければなりません。
火曜日に休んだことで「振替された」と誤解されやすいですが、後から与えた休みはあくまで代休であり、賃金の支払い義務は残るのです。
混同しやすいポイントを再確認
ここまでの説明を踏まえ、それぞれの違いを押さえておきましょう。
- 法定休日は、法律で必ず与えなければならない休日で、出勤すれば必ず割増賃金(1.35倍以上)が必要です。
- 所定休日は会社が独自に定めた休日で、出勤時の割増賃金の有無は就業規則など会社のルールに基づきます。
- 振替休日は、あらかじめ休日と勤務日を入れ替える制度で、正しく運用されていれば割増賃金は不要です。
- 代休は、休日出勤した後で別の日に休ませるものですが、割増賃金の支払いは必要です。
特に混同されやすいのが「振替休日」と「代休」の違いです。事前の取り決めがあるかどうかが明確な境界線となりますので、実務ではしっかりと記録や合意の取り方を確認することが重要です。
最後に
休日の定義や扱いは、労働時間管理や賃金計算の基本であり、誤った運用をすると、未払い賃金や労使トラブルに発展するリスクがあります。
新入社員の方は、自身の働き方を正しく知るために、
人事・労務担当の方は、適正な制度運用のために、
ぜひ今回の内容を職場での実務にお役立てください。
当事務所では、就業規則の整備や労働時間制度の見直し、休日の取り扱いについてのご相談にも対応しております。お気軽にお問い合わせください。
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